エルメスのクロコ素材の買取について
前回は皮革素材のひとつとしてオーストリッチについて述べさせていただきましたが、今回はいわゆるワニ革について紹介したいと思います。ちょっと長くなるので、前編後編に分けて記載します。
ワニ革は独特の凹凸の鱗(うろこ)模様がある、非常に高価な皮革素材です。
よく耳にするものとしては「クロコダイル」が挙げられますが、「ワニ革=(イコール)クロコダイル」ではありません。ワニ革を総称してクロコダイルと呼ばれることもあるようなのですが、実はクロコダイルはワニ革の一部なのです。
ワニ革を使用する代表的なブランドにはエルメスがありますね。ちょっとした乗用車が買える位のお値段がしますが、それは納得。
大変、時間とコストのかかる素材を贅沢に使っているからに他ならないからなのです。詳しく見てみましょう。
ワニ革には、大きく分けて次のような種類があります。
・クロコダイル
ワニ目クロコダイル科のワニ。背面は大型の鱗で覆われているが、幅が狭いのが特徴です。クロコダイルは、皮革製品上、スモールクロコダイル、ラージクロコダイル、ナイルクロコダイル、シャムワニに分類されます。
その中でも、スモールクロコダイルは最も高級品とされています。細かい長方形の鱗が綺麗に揃っており、高級なバッグに使われます。「ポロソス」や「ポロサス」という名称でも呼ばれることもあります。エルメスの製品でよく見られます。写真はイリエワニ。
・アリゲーター
ワニ目アリゲーター科のワニ。アメリカアリゲーターやヨウスコウ(揚子江)アリゲーターが有名です。クロコダイルと比べると、ややハリが弱いとされていますが、高級品に違いはありません。腑は大きめでやや隆起しています。写真はヨウスコウアリゲーター。
・カイマン
ワニ目アリゲーター科のワニ。カリブ海北部のケイマン諸島に生息するワニです。背中と腹のウロコ部分に骨のような物質があるため大変硬く、石ワニとも呼ばれます。なめしてもやわらかくならないため、脇腹部分のみが皮革として利用されます。ワニ革の中では価値は低いとされますが、固い突起腑が特徴で、強度が高く水や傷にも強い素材です。写真はメガネカイマン。
分かりやすい写真をネットで探しましたが、違いが分からないという。。。笑
ともかく、いずれのワニも生息地の破壊、水質汚染、皮目的の乱獲などにより生息数が減少しており、絶滅が危惧されているため、現在使用される皮革素材のほとんど(約8割)が養殖となっています。
それでも、皮革製品として利用できるほど飼育するためには、多くの時間とコストと労力がかかるため、高級素材となるのです。
次回は、その価値にも大きく影響する「腑(ふ)」についてご紹介しようと思います。